M.A.C Garden top 春 Spring 秋 Autumn 冬 Winter 外伝 Another story
名前
空木(うつぎ)
別名
卯の花
学名
Deutzia crenata
分類詳細
アジサイ科 落葉低木
5〜6月
2-4m
利尿 むくみ(果実、葉)
木栓 槌 木釘
 ウツギは、幹が空洞になっているから「空木」と書き、万葉集では、

卯の花も いまだ咲かねば ほととぎす 佐保の山辺に 来鳴きとよもす

 というように「うのはな」の名前で登場するが、花が卯月(うづき/陰暦4月、現在のほぼ5月)に咲くから「卯の花」と呼ばれるようになった。
 卯の花といえば、学校唱歌を習った人なら、

卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

 と、佐々木信綱作詞の『夏は来ぬ』を思い出すだろうが、最近、卯の花の生け垣はほとんど見かけなくなってしまった。M.A.C Gardenでは、広島の山にある盆栽屋さんから挿し木をもらって育てているが、花が咲くのはおそらく2018年の初夏だろう。
 ウツギの果実、樹皮、枝、葉は、民間薬として利用され、茎は硬く腐りにくいので、酒樽の木栓や槌、木釘として古くから用いられている。
 北東の住まい(花散里)は、涼しそうな泉があって、夏の木陰を主として造ってある。庭先の植え込みは、呉竹を下風が涼しく吹き通すように植えてあり、高い木が森のように茂っていて趣がある山里といった感じで、卯の花の垣根をわざわざめぐらして、昔をしのばせる花橘、撫子、薔薇、くたに(不明 竜胆とも牡丹とも)などの花をいろいろ植えてあり、春や秋の草木をその中に混ぜてある。          
[少女]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
卯の花も いまだ咲かねば ほととぎす 佐保の山辺に 来鳴きとよもす
(卯の花も まだ咲いていないのに ほととぎす 佐保の山辺に もう来て鳴いてい る)
大伴家持(巻八―一四七七)
ほととぎす 鳴く声聞くや 卯の花の 咲き散る岡に 葛引く娘子
(ここでほととぎすの 鳴く声を聞こう 卯の花の散っている岡で 葛を引く娘よ)
 読人しらず(巻十―一九四二)
うぐひすの 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ
(うぐいすの 通う垣根の 卯の花の 嫌なことがあったのか あの人が来てくれな い)
読人しらず(巻十―一九八八)
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