M.A.C Garden top 春 Spring 秋 Autumn 冬 Winter 外伝 Another story
名前
忍(しのぶ)
学名
Davallia mariesii Moore ex Baker
分類詳細
シダ植物 多年草 シノブ科
20〜30cm
信夫摺(しのぶずり)
 忍の名前は、この草が土のない岩石の上に多く生育し、まるで耐え忍んでいるように見えるからついた。
 伊勢物語の初冠の段に、

男の着たりける狩衣の裾をきりて、歌を書きてやる。その男、信夫摺(しのぶずり)の狩衣をなむ着たりける。

男が着ていた狩衣の裾を切って、それに歌を書いて贈る。その男は、信夫摺の狩衣を着ていた。

 とあるが、信夫摺とは忍草の茎や葉を、ねじれたような模様で摺りつけたもので、奥州信夫郡から産出したという。
 その辺の近くにある某院(名前を伏せているが河原院)に着かれて、院の番人を呼ばれている間、あたりをごらんになると、荒れはてた門の屋根にしのぶ草が茂っているのが見上げられ、木も鬱蒼としていて暗い。霧も深く湿っぽく、牛車の簾まで上げていらっしゃったから、袖もひどく濡れてしまわれた。          
[夕顔]
荒れまさる 軒のしのぶを ながめつつ しげくも露の かかる袖かな
(荒れてゆく軒の忍ぶ草を眺めていると 涙がしきりに袖を濡らします)
[須磨]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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