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名前
忍辱(にんにく)
別名
蒜(ひる) 大蒜(おおびる)
学名
Allium sativum L.
分類詳細
ネギ属 球根性多年草
7〜8月
100cm
がん予防 強壮・強精作用 アンチエイジング 風邪予防 冷え性改善
 ニンニクは、仏教用語の「忍辱」が語源で、困難を耐え忍ぶという意味で、古名は「大蒜(おおびる)」である。
 仏教では、ニンニクの強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて、ニラ、ネギ、ラッキョウ、ハジカミ(ショウガ・サンショウ)とともに五辛(ごしん)の1つとして禁じられていた。
「『ここ数ヶ月風病(末端神経の病気)が重いのに耐えかね、極熱の草薬を服用してたいへん臭いので対面は遠慮しています。直接顔は見えなくても、しかるべき用事などは承りましょう』
 と漢語まじりにいかにも殊勝にもっもらしく言います。答えようもなく、ただ、
『わかった』
 と言って、立ち去ろうとすると、女は淋しく感じたのか、
『この臭いが消えた頃に来てよね!』
 と大声で言うのを聞き流すのもかわいそうですが、ぐずぐずしている場合では一時もないので、女の言ったとおりその臭いが強烈に臭ってくるのがたまらなく、逃げ腰で、

『ささがにの ふるまひしるき 夕暮に ひるますぐせと 言ふがあやなさ
(〔恋人が訪れる印という〕蜘蛛が巣を張る夕暮れに 昼間まで〔蒜・にんにくの臭いが消えるまで〕

 待てとはわけがわからん)なにが言いたいんだ』
 と言い終わらないうちに走って逃げると女は追っかけてきて、

あふことの 夜をし隔てぬ 仲ならば ひるまも何か まばゆからまし
(逢うのが夜毎の仲だったら 昼間〔にんにくの臭い〕だって恥ずかしくないはず)

  さすがにすばやい詠みっぷりでした」            
[帚木]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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