M.A.C Garden top 春 Spring 秋 Autumn 冬 Winter 外伝 Another story
名前
双葉葵(ふたばあおい)
別名
賀茂葵(かもあおい) ひかげぐさ ふたばぐさ 挿頭草(かざしぐさ) 両葉草(もろはぐさ)
学名
Asarum caulescens Maxim
分類詳細
ウマノスズクサ科 多年草
3〜5月
10〜20cm
 「逢う日」にかける賀茂神社の葵祭の「葵」は、フタバアオイである。
 フタバアオイは、湿った山間に野生し、茎は地上を這い、各所に短枝があり、二葉をつける。花は赤褐色で、花びらはなく、反り上がった3枚の萼片が筒状についている。 
 源氏の君は、
〈どんな好き者だろう〉
 と思われて、場所もなるほどいい所なので、車を近づけさせられて、
「どうしてこんなにいい場所をお取りになったのか、癪ですね」  
 とおっしゃると、しゃれた扇の端を折って、

はかなしや 人のかざせる あふひゆゑ 神のゆるしの 今日を待ちける
(つまらないわ ほかの人のものになったあなたなのに 神様もお許しになる今日の葵祭りを待っていたとは)  

 注連縄の内には入れない」  
 と書いてある筆跡を思い出すと、あの典侍だった。
〈呆れるな、年がいもなく若ぶってる〉
 と憎らしくなって、そっけなく、

かざしける 心ぞあだに 思ほゆる 八十氏人(やそうじびと)に なべてあふひを
(葵祭を頼りにして待っていたとはそらぞらしい 今日は誰と逢ってもいい祭なのに) 
[葵]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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