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三澤憲治の演出日記
◇俳優歴13年、演出歴30年の広島で活動する演出家、三澤憲治の演出日記 三澤憲治プロフィール
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2017年7月16日(日)

〈治療中なのだからゆっくり寝ていればいい〉
 と思うのだが、日頃の習慣でどうしても朝4時になると目が覚める。この時間はまだ暗く、割り当てられた部屋では6時にならないと明かりがつかないので、デイルームに行って自動販売機の明かりを頼りに「弘徽殿鵜羽産屋」を読んで携帯に打ち込む。以前の日記では手書きをしていると書いたが、余りにも時間がかかるので「源氏物語」を訳した時と同じように携帯の打ち込みに変えた。
 今は5時29分、すでにカーテンを上げて窓際の席に移動しているので、文字ははっきりと見える。わたしは一日のうちで、この「朝まずめ」と「夕まずめ」が大好きで、22年前に上演した「モモ」の演出は、「朝まずめ」や「夕まずめ」に太田川や草津港に行って考えた。
「空が薄っすらと明るくなりだしてから日が出てくるまでのグラデーションのような時間の推移を想定して、音楽を作ってください」
 と作曲家の高橋一之さんに作曲を依頼したことを思いだす。「モモ」は今でも人気の作品で、今年も愛媛の高校生から 
「ぜひ上演させてほしい」
 と上演の依頼があったので快く許可した。  
 さて今日の朝まずめ、何を考えたかと言うと、
〈高村光太郎の詩ではないが
「死ねば死にきり、自然は水際立っている」 
 のだから、命あるかぎりは、「源氏物語」を江戸時代に現代化した近松門左衛門のようにどれだけ創造の翼を拡げられるか〉
 ということだ。

2017年7月11日(火)

 抗がん剤治療を2回して、放射線照射も終わったので、今一時退院している。
 入院中は、近松門左衛門の「弘徽殿鵜羽産屋」を戯曲に改変するのが日課だったが、退院となると、M.A.C Gardenの草木が気になってならない。1ヶ月半も入院していたので、さまざまな草木の徒長枝が伸び放題。これらを剪定したり、竜胆が思わぬほど伸びていて、鉢をはみ出し地面につくほどになっていたので、新しい鉢を購入して植え替えたりして一週間を過ごした。



 わが三澤家の家紋は桔梗である。退院した明くる日に紫の花が咲き、しばらくして白桔梗も花咲いた。わたしの退院を見計らっていたように咲いてくれたので、思わず笑みがこぼれた。
 




 今週か来週の初めには3回目の治療で入院しなければならないので、源氏物語の草木たちともまたしばらくお別れだ。今度退院する時には、紀州みかんの実が親指くらいになっていることだろう。


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