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三澤憲治の演出日記
◇俳優歴13年、演出歴30年の広島で活動する演出家、三澤憲治の演出日記 三澤憲治プロフィール
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2017年4月7日(金)

 
16年前、シード・ナッシング・シアターという自前の小劇場を創って5年ほど公演した。それから大劇場で公演したが、また自前の小劇場を創って活動をすることになった。
 先日、パソコンのファイルを整理していたら、こんな写真を見つけた。



 
シード・ナッシング・シアターで使用していた音響と照明の操作盤である。この時はわたしが照明操作を担当し、音響操作は他の人に頼んだ。
 
ところが今回は、照明も音響もわたし一人で操作している。一人でできるのも、音響と照明設備が進化したからにほかならない。



 左が音響で、右が照明。音響は上下2段を使い、照明は7シーンを作って操作している。音響といえば、最初はテープを繋いで操作したものだが、それがMDに変わり、CDに変わり、現在はマイクロSDである。これにMP3ファイルを入れさえすればいいのでとても使いやすい。いや、使いやすいばかりかすべてLEDなので、電気代も昔と比べてはるかに格安で、演劇人には願ったり適ったりの世の中になったことを自覚する。

2017年4月6日(木)

桃・白鳳(もも・はくほう)

 
2015年の春に夕顔を育てはじめてから、「源氏物語」の草木を育てるようになって丸二年になる。今では、90種近くの草木がベランダを埋め尽くしている。4月になって、早朝にこの芽生え始めた草木たちと対面すると、まさに心が洗われる思いである。
 これまで、素焼きの培養鉢で育てていたが、ある盆栽屋さんと知り合ってから、上記の桃(白鳳)のようにすべてを化粧鉢に変えた。この盆栽屋さんの所に行くと、枝ぶりといい、鉢の選択といい、まさに芸術品の逸品で、思わず目を見張る。人柄もとても温厚な優しい方で、この人から、針金掛けなど、盆栽のいろいろなことを教えてもらい、今ではじぶんで針金掛けもできるようになった。 
 『源氏物語』の主役の花は、紫の上の桜で、当ガーデンで6鉢も育てているが、今年も花が咲かないだろう。
 だが草木は人間と違って、決して裏切らないから、いつかは必ず花が咲く。気長に待てばいい。
 今年は浅葱の花が咲きそうだし、文目も咲くかもしれない。それだけでも喜ばなければ・・・・・・。

2017年4月5日(水)

 
「源氏物語」の出版や平安文学の現代語訳で忙しく、15ヶ月も演出日記を認めなかったが、本日からまた認めることにした。
 さて、近松門左衛門の『碁盤太平記』は、数十年前から上演したいと思っていたが、やっと時節到来、4月2日に無事幕を開けることができた。
 歌舞伎を基調にしているので、現在の私たちには無縁の過去の物語と思われがちだが、
「演劇は例え時代設定を過去にしていようが、演じられる劇はすべて現代劇である」
 というのがわたしのスタンスで、昨今のはっきりした未来像が描けない困惑した現在において、
〈なにかの拠り所にしてもらいたい〉
 という思いで創り上げた。
 おかげさまで、初日は完売で、仕事や行事のために来れなかった2名の方を除いて40名の方にご覧いただき、
「面白かった」
「迫力があった」
「劇の前に説明があったので、すんなり劇の世界に入れた」
「女性が男役を演じたのでマイルドで、忠臣忠義がよくわかった」
「女優たちの純粋な眼差しに感動した」
 など、概ね好評だった。そしてわたしの知人は、
「やはり三澤さんは、演劇をしているのがいいね」
 と言ってくれた。身に余る光栄である。この知人とは、わたしが広島でコピーライターをしていた時から付き合いがあるが、こういう言葉こそ、演劇人を奮い立たせる力がある。
「よし、今日から次回作を書こう」
 という心境になった。
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