M.A.C Garden top 春 Spring 夏 Summer 冬 Winter 外伝 Another story
名前
山萩(やまはぎ)
学名
Lespedeza bicolor
分類詳細
落葉低木 マメ科
7〜9月
1〜2m
 萩には、ヤマハギ、マルバハギ、ミヤギノハギなどたくさんの種類があるが、『万葉集』に詠まれているのは、日本各地に自生する「ヤマハギ(山萩)」である。
 『万葉集』に歌われている植物の中では、ハギが第一位で、141首もあり、古代人がいかにハギを身近な花としてとらえていたかがわかる。
 ハギは、初冬の頃に株元5センチくらいで刈り込んでも、翌春には旧株から新芽をいくつも出すので、「生え木(はえぎ)」「芽木(はぎ)」が語源だといわれている。
 ハギといえば、画家岡本太郎の母である岡本かの子をすぐに思い出す。彼女は『秋の七草に添へて』で、以下のようにハギを讚えている。

 私は秋の七草の中で萩が一番好きだ。すんなりと伸びた枝先にこんもりと盛り上る薄紅紫の花の房、幹の両方に平均に拡がる小さい小判形の葉。朝露にしつとりと濡れた花房を枝もたわゝに辛ふじて支へてゐる慎ましく上品な萩。地軸を揺がす高原の雷雨の中に葉裏を逆立て、今にも千切り飛ばされさうな花房をしつかりと抱き締めつゝ、吹かるゝまゝに右に左に無抵抗に枝幹をなびかせてゐる運命に従順な萩。穏やかな秋の陽射しの中に伸び伸びと枝葉を拡げてゐる萩。
 萩は田舎乙女の素朴と都会婦人の洗練とを調和して居るかと思へば、小娘のロマン性と中年女のメランコリーを二つながら持つてゐる。その装ひは地味づくりではあるが、秘かな心遣ひが行き届いてゐる。(原文旧仮名使いのまま)
〈いよいよわたしが死ぬときにはどんなに心を乱されるのだろう〉  
 と思うと、しみじみと悲しいので、

おくと見る ほどぞはかなき ともすれば 風にみだるる 萩のうは露
(わたしが起きているとごらんになっても それも束の間 どうかすると萩にかかった露のよう風に乱れて散ってしまいます)       
[御法]
 兵部卿宮は、とても長い手紙をお書きになる。時雨がちの夕方に、

「牡鹿鳴く 秋の山里 いかならむ 小萩が露の かかる夕暮れ
(牡鹿が鳴く秋の山里はどんなにさびしいことでしょう 小萩の露がこぼれるこのような夕暮れには)
[椎本]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに
(高円の 野辺の秋萩は 虚しく 咲いては散っていることだろうか 見る人もいな いので)
笠金村(巻二―二三一)
秋風の 末吹きなびく 萩の花 共にかざさず 相か別れむ
(秋風に 吹かれてなびく 萩の花を 一緒に髪に挿すことなく 別れていくのか)
 大伴家持(巻二十―四五一五)
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