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名前
山梨(やまなし)
学名
Pyrus pyrifolia var. culta
分類詳細
バラ科 落葉高木
4〜5月
9〜10月
5〜20m
 『日本書紀』の持統天皇のところに、

丙午、詔令天下、勸殖桑紵梨栗蕪菁等草木、以助五穀。
十七日、詔して全国に桑、紵(からむし・イラクサ科の薬用植物)、梨、栗、蕪菁(かぶら・かぶの別名)などの草木を勧め植えさせられた。五穀の助けのためである。

 とあり、梨が飢饉に備えて五穀を助けるための作物にされている。また、平安初期の『延喜式』には信濃や甲斐の国から朝廷にナシが献上されたことが記してあり、ナシは古代から食用にされてきたことがわかる。だが、その果実は、3センチくらいの小さなもので、果肉は固く舌触りが悪く、おいしくない。
 大君は、
〈妹にも話せないなんておかしな身の上だわ〉  
 と黙って奥のほうを向いていらっしゃるので、女房たちは、
「薄鈍色でなく、いつもの服装に着替えてください」  
 などと、しきりにお勧めして、みな中納言に逢わせるつもりでいるらしいのには大君はあきれるばかりで、
〈ほんとうに、あの方がその気になればなんの支障もないだろう、こんなに狭い住まいでは〉  
 と、まさに
「山なしの花(世の中を うしといひても いづこにか 身をば隠さむ 山なしの花[古今六帖])」
 で、大君には逃れる所もないのである。           
[総角]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
もみち葉の にほひは繁し 然れども 妻梨の木を 手折りかざさむ
(もみじ葉の 彩りはとりどりだ でもやはり 妻なしという梨の木を 折って髪に 挿そう)
読人しらず(巻十―二一八八)
露霜の 寒き夕の 秋風に もみちにけりも 妻梨の木は
(露の 冷たい夕べの 秋風で 紅葉したのだな 妻なしの木は)
 読人しらず(巻十―二一八九)
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