M.A.C Garden top 春 Spring 夏 Summer 冬 Winter 外伝 Another story
名前
鬼胡桃(おにぐるみ)
別名
胡桃(くるみ)
学名
Juglans mandshurica var. sachalinensis
分類詳細
クルミ科クルミ属 落葉高木 雌雄同株
5〜6月
9〜10月
10〜15m
食用
 古今集に面白い歌がある。

あぢきなし なげきなつめそ うきことに あひくる身をば 捨てぬものから

 意味は、「つまらい 嘆き思いつめていても 辛い目にあってきた身でも捨てるわかにはいかないから」だが、「あぢきナシ」「なげきナツメそ」「あひクルミをば」というように 「梨・棗・胡桃」を詠み込んでいる。
 和漢三才図会で、はじめて鬼胡桃の命名がされたオニグルミは、普通にクルミ(クルミ)と呼ばれている。
 源氏の君は、翌日の昼頃、岡の家に手紙をおつかわしになる。入道の態度がこちらが恥ずかしくなるほど立派だったので、
〈かえってこういう人目のつかない所に、意外な女が隠れているかもしれない〉
 と気を使われて、高麗のくるみ色の紙に、特に念を入れて、

「をちこちも 知らぬ雲居に ながめわび かすめし宿の 梢をぞとふ
(どこともわからない旅の空を見ては物思いに沈み 噂でうかがったあなたの家をお尋ねします)

『思ふには(思ふには 忍ぶることぞ 負けにける 色には出でじと 思ひしものを[古今集])』で、あなたへの想いがこらえきれなくなって」  
 とだけ書いてあった。          
[明石]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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