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名前
綿(わた)
学名
Gossypium arboreum
分類詳細
アオイ科 一年草
9〜10月
150cm
動脈硬化 頭痛 肩こり 腰痛 冷え性
サラダ油、マーガリン、石けん
 平安時代初期に編纂された勅撰史書である『日本後紀(にほんこうき)』に、

三河国(みかわのくに)に崑崙人(こんろんじん)が漂着し、持っていたワタの種子を諸国で栽培した。

 とある。このことから日本にワタが伝来したのは平安時代とされてきたが、近年、千葉県の奈良時代の遺跡からワタの種子が発見されたことから、ワタはすでに奈良時代から栽培されていたことが明らかになった。
 右の『万葉集』の綿は、『続日本記(しょくにほんぎ)』の注釈によると、繭を引きのばして作った綿、つまり「真綿(まわた)」のことであると記されている。
 ワタの歴史は古く、紀元前に栄えたインダス川流域のモヘンジョ・ダロ遺跡から綿布が発見されていて、遠い昔から実用化されていたことがわかる。
 ワタは繊維以外にも利用され、種子から採った油は「綿実油(めんじつゆ)」と呼ばれ、サラダ油、マーガリン、石けんなどに利用される。また、種子(綿実)や根皮(綿根皮めんこんぴ)、綿毛(めんもう)などは民間薬にも利用されている。
 冠に挿した綿の造花は、なんの色合いもないが、この六条院の場所柄のためか風情も格別で、心も晴れ晴れとして命も延びるような感じがする。源氏の君のご子息の中将の君や内大臣の若君たちが、大勢の一行の中でも特に目立っていて、華やかである。ほのぼのと夜が明けてゆく頃、雪が少しちらついてそぞろ寒い中を、
「竹河(竹河の 橋の詰(つめ)なるや 橋の詰なるや 花園に はれ 花園に 我をば放てや 我をば放てや 少女(めざし)たぐへて[催馬楽・竹河])」
 を謡って揺れ動く舞人の姿や、懐かしい歌声を、絵に描き残すことができないのが残念である          
[初音]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
しらぬひ 筑紫の綿は 身に着けて いまだは着ねど 暖けく見ゆ
(筑紫の綿は 肌にじかに 着たことはないが とても暖かそうに見える)
沙弥満誓(巻三―三三六)
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